敏腕マーケッター、デサント加勇田の仕事論


敏腕マーケッター、デサント加勇田の仕事論

敏腕マーケッター、デサント加勇田の仕事論。

ベンチャー2社を経て、大手メーカーに。スポーツ業界に風穴を空けた仕掛人のキャリアに迫る。

読者の皆さんの中にも、最近の健康ブームの影響を受けて「ランニング、はじめてみようかな?」と考え、実際にシューズやウェアを購入された方がいたのではないだろうか?

しかし、ランニングは学生時代の「校庭グルグル」の記憶もあり、良い印象はない。慣れないうちは疲労も残り、すぐに止めてしまった人も少なくない。実際調査によると、ランニングを始めたものの、67%のランナーが6ヶ月以内に挫折している。そんな、いわば「燃え尽きランナー」向けに商品・サービスを展開している企業が存在しているのだ。その企業はデサント。

一般的にスポーツメーカーはシューズなどのいわゆる「DO」のための提案が主だが、同社は休むことを提案し、その手段としてタワーレコード、タニタ、東急ハンズ、日本ランニング協会などと連携し、「燃え尽きランナー」という現象を最大化させようとしている。

仕掛人は、今回のインタビューの主役である加勇田(かゆだ)雄介氏。そのキャリアは非常にユニークで、ソーシャルメディアマーケティング企業として上場したアライドアーキテクツ、マーケティングベンチャーのパイオニア的企業のトライバルメディアハウスを経て、一部上場の大手デサントに入社している。

まさに異色のキャリアを持つ加勇田氏だからこそ聞ける、キャリアアップ術がきっとあるのだろう。今回は彼と旧知の仲であるサムライト編集長の後藤がインタビューし、彼のアイデアの根源をひも解いていく。

「チャレンジすることの何が怖いの?死ぬワケないのに」

前編2

後藤:結論から聞いちゃいますが、なんでみんな、転職を怖がっているんでしょうね?

加勇田:転職するもしないも個人の自由。それで失敗するのも、自己責任だし、自分の実力不足。転職したければすればいいし、 怖がる時間があったら、自分の実力を上げて、成功するイメージをより具体的に描けるようにしたほうが、生産的じゃないですか

後藤:あぁ、インタビューが終わりましたね(笑)

加勇田:仮に転職に失敗したって、自分の実力に本当に自信があれば、また転職してもいいわけですし、留まって起死回生してもいい。なんで、そんなに転職回数を気にするんでしょ?「転職回数●回以上の人は採用したくないな」みたいな事実もあります。ただ、その懸念を上回るものを転職候補先にGiveすればいい。悩むことに時間を割くよりも、そのGiveの精度を高める、自分の実力を上げていくことに時間を割いたほうが生産的じゃないかと思います。

後藤:(笑)

加勇田: たとえばキャリアにまつわる記事って、今、結構あるわけじゃないですか?リクルートさんのHRナビだったり、エン・ジャパンさんのキャリアハックだったり。そこに色々参考になることって書いてあると思うんですよ。

そういう記事の中で、自分よりも格段に実績がある方が「これはやった方がいいよね」ということを仰ってますよね。んで、それを見た、“意識高い系の読者”が「勉強になります」「参考になります」みたいなことをTwitterやFacebookに投稿すると思うのですけど、そこで終わりですよね。

私の今回の記事読む時間があったら、過去に読んだ「勉強になります」「参考になります」って言った記事を読み返して、どうしたらアウトプットに生かせるかを考えた方が生産的だと思います。

たとえばですけど、自分がこんな本読んだらいいよ、と3冊ほど紹介するとします、でも読む人ってほとんどいないですからね。10人中1人いたらいい方がと思いますよ。

逆に言うと、本を買って読むだけで、イケてる10%の部類に入れるわけで。そこに入るための努力をしているだけで、転職だけでなく、社内でのポジションやミッションの獲得でも絶対有利に働くはずなんですよね。

前編3

後藤:本当にインタビューが終わってしまいそうなので、一回話を戻しましょう(笑)。加勇田さんみたいに、目的とか自分の成長ってものをちゃんと意識して、ガンガン動ける人ってほんの一握りですし。

ちなみに加勇田さんって、新卒でアライドアーキテクツに入社していますよね?今は上場企業になりましたけど、当時は無名と言っても過言ではないと思いますが、またなぜ?

加勇田:新卒の時はざっくりいうとコミュニケーション業界で回っていたので。もともと、友人とニュースサイトみたいなものを学生のころ運用していたんですよ。そしてやっていた時に、よく言われることだと思うんですけど、それで人が動くみたいな。それで仕掛ける側の楽しさを味わってしまったみたいな、っていうのはありますけどね。

後藤:加勇田さんのポテンシャルと実績なら、他にも色々と内定をもらったハズですよね?

加勇田:いくつかありましたけど、会社が成長していくスピード感が面白いなと思って。

あと、僕個人でニュースサイトを運営していたのですが、当時まだツイートボタンやいいね!ボタンはなかったんですけど、おもしろいものを書くとそれがブログに書かれてそこから流入してきたりだとか。

呼び水になるものを書けば、問題定義みたいなものを書けば人がくるみたいなところがあったんで、二次波及の仕組みは遅かれ早かれ、確実に来るなと思ったんですよ。

就職活動で優秀だった子は、今、会社で優秀な人材か?

前編4

後藤:いやぁ、学生時代から先を読む能力すごいですね。

加勇田:でも、優秀な学生ではなかったと思いますよ。社会人にとっての優秀と学生にとっての優秀って、大きく違うと思ってて。

後藤:その優秀の違い、具体的にどういうものと考えてますか?

加勇田:たとえばですけど、ウチの会社ってランナーの人が履いている黒いタイツみたいなもの、業界的にいうとコンプレッションウエアを扱っています。

これを「“コンプレッションウエア”として、どう認知させていくのか?」、というQuestionについて適切な答えを出せるのが学生にとっての優秀。社会人にとっての優秀ってもちろんそこを考えられることも重要なんですけど、「そもそもコンプレッションウエアとして売り出した方がいいのか?」という、前提から疑う、Questionの部分から疑える能力の方が重要かと。

就職活動時に学生に問いかけられるQは決まっていますよね?この正答率が高いのがいわゆる優秀で、たくさんの企業から内定をとっているヤツだと思うんですね。

でも、社会人にとっての優秀って、このQを考えられる人間という要素を持っている。なぜならば、コンプレッションウエアとしての認知拡大策を考えるというそもそものQが間違っていたらAは絶対に正しくならない。

まず前提のQを深堀りできることが、社会人とかマーケティングとかそこらへんをやる人たちにとっての優秀だと思っていますよ。

後藤:そもそもの問いが間違っていて、それに気付かないままAを導きだそうということ程、無駄。目的をきちんと再定義しなければ、手段の目的化が横行するばかりですね。

「なんとなく良いよね」を分解できなければ、企画の仕事なんて出来るワケがない。

前編5

後藤:ちなみに、そういうQを考えられるような人間っていないですよね?これって、どのようなことをしたらいいんでしょう?

加勇田:一つは、なんとなくっていう言葉を使わなくするってことじゃないですか。たとえば、後藤さんカラーランって知ってますよね?

後藤:カラーパウダーを浴びながら5kmのコースをリア充たちが騒ぎながら走る、そんなイベントですね。ランのイベントだけど、順位がつかない、エンタテインメント性に振り切ったところが秀逸ですよね!

加勇田:ご名答(笑)!あれ、すごく人気が出ましたけど、なんで人気になったんでしょう。なんとなく「話題になったよね!」で終わらせたら、たぶんQは考えられないと思います。

後藤:たしか、参加者の60%強が、カラーランが初めてのランニング大会、みたいな参加者の構成でしたよね?自分は現地に居たんですけど、グループでの参加が基本でした。

加勇田:そう。でも今ってランニング系のイベントって数多あるじゃないですか?たとえば、「東京マラソン一緒に出ようよ!」って言っても出ない人が多いと思います。つまりカラーランは、走るイベントではなく、一つのお祭りとしての位置づけだったワケですよ。

だから、誘う側も誘いやすいんですよ。申込みページを見ても、団体申込み割引の誘導がすごく強かったんです。

後藤:スタバがタリーズを競合視していないという話と似てますね。カフェではなく、サードプレイスとしてのスターバックス。

加勇田:そう!だから僕は自社のことを、スポーツメーカーと思ってないです。真正面からレッドオーシャンで戦ってもしょうがない。僕らは商品を売っているんじゃなくて、サービスを売っているんですよ。ランニングが続かない人に対して、「燃え尽きランナー」という現象を可視化させた上で、、彼らの課題解決策を、そのためのサービスを提供しているという考え方ですかね。

後藤:まさにニーズの再定義ですね。

後編は1月22日に公開予定です!ご期待ください!

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