先の読めないこれからを生き抜く、キャリアドリフトという考え方


先の読めないこれからを生き抜く、キャリアドリフトという考え方

 先の読めないこれからを生き抜く、キャリアドリフトという考え方

「将来のビジョンが決まらない」「やりたいことはあるが、それに向かって動けていない」。 今回は、このような悩みの一つの解決となりうる「キャリアドリフト」という考え方を紹介します。皆さんのキャリアや仕事に対する考え方の一助になると幸いです。

キャリアドリフトとは

「キャリアドリフト」とは、神戸大学大学院教授の金井壽宏氏が提唱する理論です。変化の激しい時代では5年、10年先のキャリアデザインをして、方向性を縛るのではなく、変化に適応し、偶然のチャンスを活かしてキャリアをつくっていこうという考えです。「ドリフト」とは、driftという名詞で、漂流という意味がありますね。

つまり、周囲の環境や状況の変化に合わせ、漂流するように身を任せてしまうということです。

これは、自分の経験やスキル、ありたい将来像についてを考慮しながら、自らの持つ能力を活かすための仕事や職務の形成を進めていく「キャリア・デザイン」とはある意味対をなす考え方ですね。

言葉の意味だけで見ると、キャリアデザインは主体的に自分の道を決める考え方であり、キャリアドリフトは流されるままに、自分の意思なく動いているだけのように見えるかもしれません。しかし、有名な「あの人」もキャリアドリフトと似た考えをスピーチで話しているのです。

スティーブ・ジョブズの考え方とキャリアドリフト

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スティーブ・ジョブスのスタンフォード大でのスピーチは非常に有名ですね。締めくくりの言葉の ”Stay hungry, stay foolish” が最も有名ですが、このスピーチでジョブズは「Connecting the Dots(点をつなぐこと)」 というテーマについても話しています。このテーマの最後で、ジョブズはこう話しました。

「先を見越して点を繋ぐことはできない。振り返ってつなぐことしかできない。だから将来何かの形で点がつながると信じなければならない。何かを信じなければならない。直感、運命、人生、カルマ、その他何でも。この手法が私を裏切ったことは一度もなく、私の人生に大きな違いをもたらした。」(スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学での卒業式スピーチより)

これは、ジョブズが大学を中退し、興味の持てない必修科目から解放された後、「ただ面白そう」だから取った「文字芸術」の授業で学んだことが、10年後にマッキントッシュを設計している時に生きてきたというエピソードを受けてのものです。

ジョブズはマッキントッシュを設計することを見越して「文字芸術」の授業を取ったわけではありません。しかし、この経験があったため、結果的にマッキントッシュは文字を美しく表示し、印刷できる最初のコンピュータとなったのです。ここからのマッキントッシュの飛躍は、もはや説明不要ですね。

そして、ジョブズはこうも言います。

「私が大学に居た時に先を見越して点をつなぐことは不可能だった。しかし10年後に振り返ると、とてもとても明白だった。」 (スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学での卒業式スピーチより)

この話には、キャリアドリフトとかなり共通する部分がありますよね。先のことはわからないのだから、無理に探したり、決めたりせずに、その場で信じたものに取り組む。そうすると何年後、何十年後かに振り返った時に、それが自分の中で大きな意味を持つものになっているということです。

ジョブズのスピーチを観たい方はこちらからどうぞ。

これから増々重要になる、キャリアドリフトという考え方

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安定の望めない時代

成熟化が、そしてIT化が進んだ近年、社会が目まぐるしい速さで変化しています。それに伴い、終身雇用制度が崩壊しつつあり、企業の寿命も短くなっています。

このような時代で大切なことは、「変化に柔軟に対応すること」です。自分でガチガチにキャリアプランを固めて社会に出て、仕事をしても、環境の変化であっさりと崩れてしまう可能性があります。また、目まぐるしく変化する時代を見て、自分が将来何をしたいのかわからないという人も多いでしょう。無理に毎日考え続けても、窮屈になってしまったり、視野が狭くなってしまったりするかもしれません。

将来ではなく、「目の前のこと」に全力で取り組む

もちろん、人生の節目節目でキャリアについて考えることは大切ですが、日常的にストイックに考え続けるのではなく、目の前のことにだけ集中し、120%の力で取り組むのも良いのではないでしょうか。一見自分には合ってなさそうな仕事でも、120%の力で取り組むことで、自分の中の新しい発見や、価値観への気付きがあるかもしれません。

そういった気づきを大切に、自分の信念や直感に基づいて判断し続けて「漂流する」ことで、昔の自分では到底想像もできなかったような場所にたどり着けるかもしれません。